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【HP】怪鳥の子

第10章 クィディッチの初試合とゴールデンスニッチ


 ハリーたちと別れてから、ミラはドラコといつも通り材料を取りに行き、ドラコから今日の段取りを聞くとすぐにナイフを手に持って材料を刻みはじめた。

「さぞいい気分だったろうよ、ポッターは。手じゃなくて口で取れるんだからな」
「素直にすごいって言えないの、あなたは?」

 わかっていたが、ミラは手を止めて呆れてドラコを見た。

「あんなのがすごい訳ないだろう!反則に決まってる!」
「反則をしたのはそっちのチームだ」
「あれはたまたまあそこを飛んでいたフリントがポッターにぶつかっただけだ」

 ミラが信じられないといった顔でドラコを見た。

「---じゃあハリーが箒から落ちて死ねばよかった?」

 ゾクっとドラコは背筋が凍るような、抑揚のないミラの声で作業していた手をバンっと机について声を上げた。

「そ、そこまでは言ってないだろ!」

 シーンと、教室中が静まりかえって、みんながミラとドラコの方をびっくりして見ていた。ドラコは「しまった!」と思い、青白い頬がうっすらと赤みを指していた。

「ミスター・マルフォイ、そんな大声をあげて何かあったのかね?ミス・グローヴァーが何か?」
「いいえ、スネイプ先生。何もありません」

 すぐにスネイプ先生が駆けつけたが、ミラは何事もなかったかのように手元の作業に戻って答えた。スネイプ先生はドラコを見やると、ドラコも「すいません」と、小さな声で謝罪した。

 しばらくスネイプ先生からの視線を感じたミラは、私は何も知りませんと振る舞った。それが余計に生意気な態度だとスネイプ先生は常々思っていた。ドラコには一度忠告を申したはずが、距離を置くどころかこの数ヶ月でずっと一緒に組んでいるのだ。
 今も次の工程をドラコに聞くミラたちの後ろ姿をジッと見ていると、今日の調合薬で聞くことのないボコボコする音が耳に入り、スネイプ先生は上衣を翻してクラッブとゴイルの組みの方へ行った。


「…やっと行ったよ」
「お前のせいでぼくまで目をつけられたらどうするんだ!」
「大声を出したのはドラコの方じゃん!」

 二人はムッとお互いを睨みつけると、黙々と作業をこなした。それは授業が終わるまで二人は何も話さず、授業が終わればミラはさっさとハリーたちの元へ戻ったのだった。
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