第10章 クィディッチの初試合とゴールデンスニッチ
そして次の魔法薬学の授業で、案の定ドラコのハリーへのヘイトは酷かった。スリザリンが負けたことを根に持って、「次の試合にも大きな口の《木登り蛙》がシーカーになるぞ」と、ハリーが再びシーカーになるということを笑い者にしようとして囃し立ててきた。
しかし笑っているのはスリザリンの生徒だけで、グリフィンドール生たちはドラコに対して完全に無視をしていた。
無視したせいなのか、この日もドラコがわざわざ自分と組もうと言ってきたのだから、ミラは呆れながらも、ハーマイオニーに一言謝ってドラコについて行った。
「ミラって不思議よね、なんであんなのと組むのかしら?」
ハーマイオニーは訳が分からないとミラとドラコの後ろ姿を見て言った。「ぼくだって最初そう思ってたさ、それがさ」と、ロンはこれまでミラがなぜ組んでいるのか理由をハーマイオニーに話した。
「別に得することなんて…スネイプ先生の嫌味とかが飛んでこないことぐらいだよ」
ロンは近くにスネイプ先生がいないか確認してから、コソッとハーマイオニーに耳打ちした。ハーマイオニーはロンの話を聞くと、なるほどと納得した。
「つまり、スパイしてるのね」
「あんな奴のスパイなんかして、何が楽しいのやら」
ロンは理解ができないと言うと、フィネガンを誘って誘って材料が置かれたテーブルに行ってしまった。
「ミラなら心配いらないよ、ハーマイオニー。うまく行ってないなら、今日も組んでるはずがないよ」
「…それもそうね」
ハリーも材料を取りに行こうとハーマイオニーに声をかけると、ハーマイオニーはチラリとミラとドラコの様子を心配そうに見てからハリーの後に続いた。
(スパイをしている理由は…ハリー、あなたのためなんじゃないかしら?)
ハーマイオニーは胸の内に感じるモヤモヤに、そっと蓋を閉じた。