第10章 クィディッチの初試合とゴールデンスニッチ
ミラとハーマイオニーは観衆を掻き分け、スネイプ先生が立っている側のスタンドに辿り着くと、スネイプ先生の列の一つ後ろの列を駆け抜けた。途中でクィレル先生とぶつかってなぎ倒したせいで、クィレル先生は頭からつんのめるように前の列に落ちたが、二人は立ち止まりも謝りもしなかった。
スネイプ先生の背後に廻ったハーマイオニーはそっとうずくまり、杖を取り出して二言三言しっかりと言葉を選んで呟くと杖から明かるいブルーの炎が飛び出した。それはスネイプ先生の上衣(ローブ)の裾に燃え移った。ミラは「丸焦げになれ」とスネイプの上衣に燃え移った炎を見て思った。
三十秒もすると、スネイプ先生は自分に火が付いていることに気が付いた。鋭い悲鳴が聞こえ、ミラとハーマイオニーはこれでうまくいったと、顔を見合わせて頷いた。
ジョーダンの実況中継で、空中のハリーは、再び箒に跨れるようになったことを知ると、ミラは力一杯ハーマイオニーを抱きしめた。
「あぁ、ハーマイオニー!あなたと友達でよかった!」
「私もよ!でも早くここから逃げましょう!」
「うん、ハリーの勇士を1秒でも長く見ないとね!」
二人は急いでハリーの姿が見る場所まで戻ると、ちょうどハリーが地面に向かって急降下をしているところだった。ハリーは口に手を押さえていて、まるで吐こうとしているような姿だった。
「…ハリー?」
ミラはハリーにまた何かが起きたのかと、不安でハリーを見つめた。
地面に降りたハリーは四つん這いになって、コホンっと咳をすると、キラッと金色に光ものが手の中に転がり込んだ。
「スニッチを取ったぞ!」
と、頭上高くスニッチを振りかざしてハリーが叫んだ。ミラは嬉しくなり、またしてもハーマイオニーを抱きしめた。
「ハリーがスニッチを取った!!」
「勝ったよのわたしたち!!」
今度こそハーマイオニーもミラの背中に腕を回して大いに喜んだ。競技場もハリーがスニッチを取ったことで盛り上がり、チームに囲まれて喜んでいるハリーを見て、ミラはニッコリと笑顔になった。