第10章 クィディッチの初試合とゴールデンスニッチ
ペナルティーシュートも問題なく決まると、試合が再開された。ハリーが二度目のブラッジャーを交わした時、ハリーの箒がおかしな揺れ方をしているのにミラは一番に気が付いた。
「…ハリーは何をしているの?」
空中をジグザグに飛んでいて、時々激しく揺れ動くせいでハリーはあやうく振り落とされそうになっていた。ハグリッドも双眼鏡を通してそれに気が付くと、ハリーの箒はますます暴れ出した。
次の瞬間、全員が息を飲んだ。箒が荒々しく揺れ、いまにもハリーを振り飛ばしそうになった。今や、ハリーは片手だけで箒の柄にぶら下がっている状態で、ミラはサッと顔が青ざめた。
「ハリー!手を離しちゃダメだ!!」
ミラはハリーに向かって叫び声を上げた。どうして今自分は箒を持っていないのか、持っていれば親友を助けに行けるのにと、ハリーが落ちるかもしれないと思うとミラは何にもできない自分を歯痒く感じた。
箒は強力な闇の魔術でない限り、箒のコントロールをどうにかするのは難しいとハグリッドが言うと、ハーマイオニーはハグリッドの双眼鏡を引ったくって会場内を見回した。
「思った通りだわ、スネイプ先生よ…見て」
ハーマイオニーは双眼鏡をミラに渡すと、ミラは向かい側の観客席に座っているスネイプ先生を見つけた。ハリーから目を離さず絶え間なく何かブツブツつぶやいている様子が見てとれた。
ミラは双眼鏡をロンに渡した。
「何をしているんだ?」
「---箒に呪いをかけているのよ」
「あの陰険教師--呪ってやる!」
ミラは目をギラギラさせながら杖を忍ばせていたポケットから抜き取った。ロンとハーマイオニーはギョッとミラを驚いてみると、ハーマイオニーはすぐにミラに抱き着いて進行を止めた。
「待って!ミラ!わたしがなんとかするから!だから落ち着いて!」
「どいてハーマイオニー!ハリーが危ない!!」
「わたしがっ、わたしがなんとかするから!お願い!!冷静になって!」
グッとミラは怒りを抑え込み、ハーマイオニーを見つめた。
「…わかった、でもわたしも行く」
まだ完全に冷静になりきれていないミラだったが、ハーマイオニーはロンにはきっと彼女を止められないだろうと思い頷いた。