第2章 宛名のない手紙
ミラはマクゴナガルに応接室を出るよう言われ、まだ途中だった洗濯物を干しに、かごを置いてきた場所へ戻った。中庭でシーツを干していると、話が終わったマクゴナガルがミラの元へやってきた。
「ミス・グローヴァー、お話があります。」
ミラは洗濯物を干す作業を中断すると、いそいそとマクゴナガルの元へ駆け出した。
「ミス・メアリーとは私からしっかりとお話をしておきました。安心してホグワーツに来れるでしょう。色々大変かもしれませんが、貴方の入学を楽しみにしています」
「…ありがとうございます」
「それから貴方が魔女だと言うことは、他の人には言ってはいけません。ミス・メアリーは貴方の保護者ということで、知っておく必要がありました。ですが、貴方が魔女だと言うことを彼女が言いふらすことはありません」
ミラは頷いた。
「また日を改めて手紙を送ります。必要なものを買いに行かねばなりません。付き添いが私になるかわかりませんが、準備の方を忘れずに」
「はい…あの、ミス・マクゴナガル…」
「なんでしょう?」
マクゴナガルは優しくミラに問いかけた。ミラはホグワーツへ通えることを本当に喜んだが、一つ気がかりなことがあった。ハリーだ。ハリーを残して学校へ行けば、会える機会も減り、何よりダドリーへのいじめが心配だった。
「私の他に不思議なことを起こせる友達がいるんです……その友達も一緒に行くことはできませんか?」
ミラは意を決して言った。マクゴナガルは必死に自分を見つめるミラの前に膝を折り、両肩に手を添えた。
「ミス・グローヴァー、貴方が友達思いなのは大変素晴らしいことです。ですが貴方のいう友達にも学校のことは言ってはいけません」
「なんでですか!たった一人の友達です!」
「貴方の言いたいことはよくわかります…ですが、」
「ハリーが行かなかったら私行きたくないです!」
ミラは顔を真っ赤にして訴えた。
すると突然突風が起こり、干していた洗濯物がバタバタとうるさいを音を立てた。
「落ち着きなさい、ミス・グローヴァー。誰もその子が行けないとはおっしゃってません」
マクゴナガルは冷静に、静かに、ミラを落ち着かせる声色で話しかけた。