第2章 宛名のない手紙
手紙を開くと、中にはお祝いの言葉と、学校に必要なリストが載っていた。
「ホグワーツ…魔法、魔術…学校…?」
そんな名前の学校は一言も聞いたことがなかった。
そして何より魔法や魔術という言葉に、これは本当に現実なんだろうかと目を疑った。隣に座っていたミス・メアリーも疑り深い目でチラチラとミラの手紙を盗み見ていた。二人が何か言いたそうなことは、マクゴナガルはお見通しだった。
「ミス・グローヴァー、突然で驚くかもしれませんが、貴方は魔女なのです」
「…私が、魔女?」
「ホ、ホホホ、ご自身が何をおっしゃっているかお分かりで?ミス・マクゴナガル?魔女だなんてそんなご冗談よく言えますわ!どうぞお引き取りください!」
ミス・メアリーは数分前とは態度が変わり、すっかりご立腹だった。何しろミス・メアリーはミラが起こした数々の変わったことに気味が悪いと感じていたし、引き取ってくれる人も現れず、さらに訳のわからない学校への誘いに鼻息荒く捲し立てた。
「それにミス・マクゴナガル!お言葉ですがこの子は学校でよく問題を起こす子です!そちらで問題を起こされましても、私責任も何も取れません!こんな出来損ないの子供、とてもじゃありませんが」
「口を慎みなさい!」
今まで静かに会話をしていたマクゴナガルからは想像もつかない厳しい言葉が応接室に響いた。その迫力にミス・メアリーは喉にリンゴを詰まらせたような顔で、ミラも体を硬らせた。
「子供の前でなんてことを言うのですか!この子は出来損ないの子供ではありません。しばらく貴方たちの生活を見させていただきましたが、ミス・グローヴァー以外は誰も手伝いをしている様子はありません。家事が終わればすぐに学校にもきちんと通う素晴らしい子供です。素行につきましてはこれからの彼女次第ですが、きっと立派な魔女になります」
あまりの迫力に二人は言葉をなくした。ミラは初めて自分を褒めてくれる大人の存在に、どうすればいいか分からなかった。しかし、その頬はうっすらとピンク色に染まっていた。
「…い、行きます…学校に行かせてください!」
ミラは思わず立ち上がって叫んだ。マクゴナガルはにっこりミラに微笑み、頷いてくれた。