第10章 クィディッチの初試合とゴールデンスニッチ
そしてハリーのデビュー戦が前日になると、なぜかハリーがシーカーになったと言うことが学校中に広まっており、知らない者はいない状態だった。その日は四人で休み時間に、凍りつくような中庭を歩いていた時、運悪くスネイプ先生と出会うと、ハリーの持っていた「クィディッチ今昔」の本を規則だとこじつけて取り上げた。そして足をひきづりながら去っていくのを、ハリーはずっと睨みつけていた。
「スネイプ先生は、ハロウィーンのとき、三つ頭の犬の裏をかこうとしたんだ!ぼくとロンが見たのは、そこへ行く途中だったんだよ---あの犬が守っているものを狙ってるんだ!箒を賭けてもいい、トロールは絶対にスネイプ先生が入れたんだ。皆んなの注意を逸らすために!」
ミラ、ロン、ハーマイオニーは息を乱して談話室に戻ってきたハリーの言葉に目を見開いて聞いていた。
その日の夜、談話室でハーマイオニーに宿題のチェックをしてもらっていたハリーとロン。ミラはわざわざ直すのも面倒で宿題の手直しはしなかったが、ハーマイオニーの隣に座ってその作業をぼんやり見ていた。
途中ハリーはやはりスネイプ先生から本を返してもらえるよう伺ってくると、談話室を出て行ったのを見送ったが、ハリーの手にはもちろん本はなく、代わりに興奮したように勢いよく話しを捲し立てた。
しかしすぐにハーマイオニーは「違う、そんなはずないわ」と言った。
「確かに好意的じゃないけど、ダンブルドア校長が守っているものを盗もうとする人じゃないわ」
「おめでたいよ、君は。先生は皆んな聖人だと思っているんだろう」
ロンはハリーの意見に賛成し、ハーマイオニーに手厳しく言った。ムッとしたハーマイオニーは、隣に座っていたミラを見た。
「確かにあの先生ならって思うけど…そうまでして手に入れたい物がその犬の下にあるってこと?」
「ぼくはハリーと同じ考えだな、スネイプ先生ならやりかねない。あの犬は何を守っているんだろう?」
四人は黙って顔を見合わせた。誰もあの犬が何を守っているのか検討もつかず、「明日はハリーの初試合だ、もう寝よう」と、ミラは埒のあかない話に区切りをつけてハーマイオニーと女子寮に戻った。