第9章 ハロウィーン
ミラは目を大きく開いてマクゴナガル先生を見た。まさかあのドラコがと信じられない気持ちが大きく、スネイプ先生の顔も一瞬チラリと伺った。
「--とにかく、お二人には説明をしてもらいます」
マクゴナガル先生はハリーとロンを見て言った。
「マクゴナガル先生、聞いてください----二人ともわたしを探しに来たんです」
「ミス・グレンジャー!」
その時、暗がりからハーマイオニーが姿を表した。
「わたしがトロールを探しに来たんです。 わたし……わたし一人でやっつけられると思いました---あの、本で読んでトロールについてはいろんなことを知っていたので」
ロンは杖を取り落とした。
ハーマイオニーが先生に真っ赤な嘘を言っている?
「もし、二人がわたしを見付けてくれなかったら、わたし--それにミラは本当にトイレにいて、すぐにわたしを助けてくれました!じゃないと…今頃死んでいました。ハリーが、杖をトロールの鼻に刺し込んでくれて、ロンはトロールの棍棒でノックアウトしてくれたんです。二人とも、誰かを呼びに行く時間が無かったんです。二人が来てくれた時は、私、もう殺される寸前で」
ハリーもロンも、そのとおりです、という顔を装った。
「まあ----そういうことでしたら----」と言って、マクゴナガル先生は四人をジッと見ました。
「ミス・グレンジャー、なんと愚かしいことを。たった一人で野生のトロールを捕まえようなんて、そんなことをどうして考えたのですか?」
ハーマイオニーは項垂れた。ハリーとミラも言葉が出なかった。
規則を破るなんて、ハーマイオニーは絶対そんなことをしない人間だ。その彼女が規則を破った振りをしている。自分たちを庇うために。
まるでスネイプ先生が、お菓子を皆んなに配りはじめたようなものだ。
「ミス・グレンジャー、グリフィンドールから五点減点です」
と、マクゴナガル先生が言いました。
「あなたには失望しました。怪我が無いなら、グリフィンドール塔に帰ったほうが良いでしょう。生徒たちが、さっき中断したパーティーの続きを寮でやっています」
ハーマイオニーは項垂れたまま女子トイレを後にした。