第9章 ハロウィーン
マクゴナガル先生は、今度はハリーとミラ、ロンのほうに向き直った。
「先ほども言いましたが、あなたたちは運が良かったのです。成長した野生のトロールに立ち向かえる一年生なんてそうざらには居ません。一人五点ずつあげましょう。ダンブルトア校長にご報告しておきます。帰ってよろしい」
三人は急いで廊下に出て、二つ上の階に上がるまで何も話さなかった。
何はともあれ、トロールのあの臭いから逃れられたことは嬉しいことだった。
「三人で十五点は少ないよな」
と、ロンが呟くと、ミラはプッと笑いをこぼした。
「三人で十点だろ。ハーマイオニーの五点を引くと」
「ああやって、彼女がぼくたちを助けてくれたのは確かに有り難かったよ。だけど、ぼくたちがあいつを助けたのも確かなんだぜ」
「ぼくたちが鍵を掛けてトロールをハーマイオニーと一緒に閉じ込めたりしなかったら、助けは要らなかったかもしれないよ」
と、ハリーはロンに正確な事実を思い出させた。
「二人とも、そんなことしてわたしまで殺す気だったの?」
ミラは呆れて二人を見ると、二人は「わざとじゃないんだ!」と慌てて弁解した。
三人は『太った婦人の肖像画』の前までやって来ると、『豚の鼻』の合言葉で三人は中に入った。
談話室は、人がいっぱいでガヤガヤしてた。
ハーマイオニーだけが、一人ポツンと扉の傍に立って三人を待っていた。互いに気まずい一瞬が流れると、ミラはそういえば三人はまだ和解してなかったと気が付き、ハリーとロン、ハーマイオニーを交互に見た。
しかし、それも杞憂に終わり、三人とも顔を見もせずに、互いに「ありがとう」と言い合い、ミラはホッとしたように微笑んだ。そして急いで食べ物を取りに行った。
それ以来、ハーマイオニーは三人の友達になった。ミラは初めての女の子の友達に戸惑いつつも、初めて一緒の寝室になってよかったと思ったのだった。