第1章 夜景とコーヒーと貴方の香り
「では失礼………。」
そう七海が言った束の間…
ぐいっと腕を引っ張られて固い胸板を押し付けられる。
「えっ………な……七海。」
「少しこのままでいて下さい。」
自分とは違う少し甘い香りとシチュエーションに頭がクラクラする。
「な……七海。」
「どうしましたか?」
「は………恥ずかしい………。」
「たまには私も甘えさせて下さい。」
そう言われてギュッと抱きしめられながら、彼が何事に対しても人一倍真面目に取り組んでいる様が頭をよぎった。
「ねぇ、七海。いつもお疲れ様。
私で良ければ今度オフの日にお茶でも行かない?
美味しいコーヒーが飲めるお店を見つけたの。」
「私で良ければではなく貴方と行きたいです。」
フッと笑った顔を見て私は感じた。
この人に恋をしていると。
------- 完 -------