第5章 お風呂と蜘蛛と貴方の背中
「………美しい。」
何度か彼女の身体は見ているのだが、よくよく考えてみるとこんなに明るい場所で見るのは初めてだった。
「な……七海。そんなに見られると恥ずかしい。」
視線に気がついた彼女の照れた顔を見ていると、もう少し困らせたくなった。
「絶体絶命の危機を救ったお礼にこちらを向いて下さい。」
「えっ……それは……ダメ…。」
「どうしてですか?」
「だって……全部…見えちゃう…。」
そういう表情が逆効果だと貴方は気がついていない。
「そのお願いは聞けないですね。」