第5章 お風呂と蜘蛛と貴方の背中
出たという言葉に職業柄、嫌な予感を覚えながら七海は急いでお風呂場に向かった。
浴室のドアを開けるとお風呂の隅に彼女が背中を丸めて何かを指差していた。
「どうしましたか?」
「七海ーーー!あれ!!」
指の先に目を向けるとどこから入り込んだのか蜘蛛がいた。
「蜘蛛ダメなの。七海、捕まえてくれない?」
自分の想像と違って安堵しながら蜘蛛を捕まえて外に出してくる。
「もう大丈夫ですよ。ゆっくり浸かって下さい。」
「有難う、絶体絶命かと思った。」
ふと彼女の方を見ると白くスベスベした背中に目がいき、胸が高鳴った。