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涼風の残響【鬼滅の刃】

第24章 予知と鎮魂


風音が涙を堪えながら実弥と移動し始めた頃、無一郎は一人城内のそこかしこに溢れ返っている鬼の群れを倒しつつ目的の部屋を目指していた。

「霞の呼吸 陸ノ型 月の霞消」

何度技を放ったかも分からなくなるほど技を放ち、鬼の頸などどれほど斬り落としたか分からなくなっていた。
今の技でも大量の鬼が塵と化したので数は分からないし、そもそも開戦数分で数を数えることを諦めている。

諦めながらも戦闘の妨げとなり得る鬼を殲滅するため、無一郎は休む間もなく足を動かした。

「風音ちゃんからの先が途絶えた。やっぱり負担すごかったんだよね……まぁ、負担凄かったとしても不死川さんに言われて途絶えさせたんだろうけど」

こちらに涙目で向かっているだろう風音の姿を思い浮かべ、場にそぐわないと分かっていながらも小さく笑みが零れた。

「鬼舞辻に腕からめとられた時はヒヤッとしたけど、元気そうでよかった。今度は……ちゃんと助けることが出来た」

誰を想っての言葉なのかは無一郎にしか分からないが、言葉から察するに、大切で失いたくなかった人を想っているのだろう。
そして過去にその人を救えずもがき苦しんだはずである。

二度と同じ思いを味わいたくない。
そう思って、出会った当初から何かと目を引いた少女を助けたのだが、それが上手くいって胸を撫で下ろしているように見える。

そんな無一郎はいつの間にか上弦の壱が待ち受けているであろう部屋の前に到着し、事前に決めた通りに風音たちの到着を待つ。

「風音ちゃんと正式に共闘するの初めてだけど、どうやって登場してくれるんだろ?やっぱり不死川さんみたいに、扉なんか知ったこっちゃねぇ!技で吹き飛ばしゃ手間も省けて塵屑の隙もつけて一石二鳥!ついでに頸落とせたら儲けもん!なぁんて、いきなり背後から飛び出して来たり」

「無一郎君!扉吹き飛ばすから避けて!」

……まさか本当に言葉にした通りのことをやってのけるなど思ってもみなかった。
しかし二つの足音は確実に迫り寄って来ているので、吹き出しそうになるのを堪えて横へ飛び退いた。

「夙の呼吸ーー」

「風の呼吸ーー」

そして無一郎の鼓膜を刺激したのは、鬼に対して途轍もなく好戦的な元師弟のピッタリ重なった声であった。
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