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涼風の残響【鬼滅の刃】

第23章 閃光と氷


(あと五分……間違いなく間に合うけど……どうしよう。剣士の人たちが続々とこの根城に入ってきた。思ったより頭に負担が……うん、考えるよりやっちゃえ!)

風音の思い切りにより、根城内に到着した剣士たちへと先の光景が送られることとなった。
しかし既に風音の頭の中は能力の酷使により熱を持ち痛みを催していたのだ……それらが新たに追加されたことは言うまでもない。

痛みや逆上せるほどの頭の熱に風音の体が一瞬くらりと傾き……実弥の表情がぴくりと動いた。

「……一旦止まれ。一分以内に手当て終わらせんぞ。その間にお前が今した事を教えろ」

「う……はい」

実弥としのぶがつい先ほど約束していたことをしっかり耳にしていた風音は顔に冷や汗を伝わせながらも立ち止まり、鋭い視線に気付かないフリをして鞄の中に手を突っ込んだ。

だからと言って実弥が見逃してくれるわけもないのだが……

「で、何したんだよ。怪我でふらついたってわけでもねェよなァ?」

「あ……えっと、剣士の人たちがここに来たからね……予定通りに先の光景を送ったの。そうしたら」

「今から合流する柱の共有切れ」

「…………」

自身の傷の手当てを終え、実弥の手当てに取り掛かる。

無言で。

こういった行動に出る時は納得していない時だと決まっているので、実弥は溜め息をついて言葉を続けた。

「上弦の壱がどんな血鬼術使ってくるか分かってんだ。俺らだって無能じゃねェ……胡蝶にも言われてたろ?俺らを信じろ。それともここで押し問答して時間無駄にすんのか?」

時間があるならば実弥だってゆっくりと言い聞かせてやりたかった。
ただでさえ多くの負担を背負っている風音を急かすようなことはしたくなかったが、今は何分切羽詰まっている状況である。

実弥の手当ても完了した現在、すぐにでも移動して無一郎たちと合流しなければならない。

こう言えば反論出来ないと知った上で発した言葉に、やはり風音は悲しげに瞳を揺らせながらも頷き返してきた。

「うん……分かった。さ、行こっか」

無理矢理に自身を納得させ弱々しい笑顔を向けて立ち上がった風音に続いて実弥も立ち上がり、少しでも気持ちが落ち着くように……と祈りながら背をポンと叩いて走り出した。
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