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涼風の残響【鬼滅の刃】

第19章 お薬と金色


「サッちゃん、おいで!」

不死川邸の居間。
それなりの大きさのある白いふわふわは完全同居と相成り、一日に何度かはこうして一人と一匹がじゃれ合っている。

「ォイ、風音。もうすぐ警備の時間だァ、準備しとけよ」

「うん!サッちゃん、いつもお留守番してくれてありがとう!今日は村上さんが来てくれるから寂しくないよ」

風音が先を見てから数日が経過した。

あの日、皆が集まる居間へ泣き腫らした顔の風音と実弥が戻ると、やはり尋常でない風音の顔の状態に全員が驚いた。

事情を説明し、その時の対策を含め柱全員が気になっていた痣の発現の条件の話を皆が警備に赴く時間まで続けた。
全てに関して解決はしなかったものの、近々行われる臨時柱合会議にて話す内容を纏められたので、とりあえず皆は納得して任務へと赴いて行った。

そして皆が帰ったあと、イヌ…… 風音曰くサッちゃん(本名サチ)の件を隠たちと話し合い、手が空いている時はここに居る村上含め数人の隠がお世話係に任命された。

ちなみに名前の由来は『多くの幸せがこの子に訪れますように』との願いを込めてサチ(雄)。
雄らしくない名前であるが、風音が決めたのならば何も言うまいと実弥は何も口出ししなかったとか。

そのサチは風音の言っている言葉を理解しているように嬉しそうに一声小さく鳴き……実弥へと突撃して行った。

「足元ウロウロしたら危ねぇだろ……飼い主に似るって言うが、落ち着きないのは風音そっくりだなァ」

「え?!……否定出来ないけど。でも飼い主に似るなら、実弥君の事が大好きっていうのもそっくりだよね。ほら、抱っこして欲しいってぴょんぴょん飛び跳ねてるよ?」

その言葉通りサチは実弥の顔を見つめながら飛び跳ね、早く抱え上げろと言っているように見える。
よく抱きしめて欲しいと両腕を広げてくる風音に正しくそっくりで実弥は思わず吹き出した。

「ハハッ!短期間でこんな似るもんかよ。しゃあねぇなァ、風音が準備出来るまで抱えてやる。……羨ましそうな顔してんなァ、さっさと準備しやがれ!」

後で必ず抱き締めてもらおう……そう決めて、風音は実弥からの雷が落ちない内に準備を終わらせた。
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