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涼風の残響【鬼滅の刃】

第10章 犠牲と招集


「夙の呼吸 弐ノ型 吹花擘柳(すいかはくりゅう)」

次の日、約束通り実弥は修練場にて風音の派生の呼吸の技の構築を一緒に考えて形にしてくれた。

弐ノ型は昇上砂塵嵐と似通っており、下から上へと無数の風の礫を巻き上がらせるものだ。
一つ違うのは……頸を斬られた鬼の表情が風の呼吸とは違い何とも穏やかな表情となることである。

どうやら風の呼吸より柔らかな風を発生させているので、痛みはほとんどないらしい。

「よし、任務完了。ちゃんと実弥さんと約束した通り無傷で終わった。楓ちゃん、実弥さんにお手紙を届けてもらっていい?私はこのまま那田蜘蛛山に向かうから、実弥さんにその事も伝えてもらえると助かるのだけど」

風音の肩にふわりと舞い降りた楓は渡された手紙を首にぶら下げ、心配そうに目じりを下げた。

「ソレハ構イマセンガ……大丈夫デスカ?不死川様二叱ラレタリ……」

楓の言葉に瞬時に風音の脳内では実弥の怒っている顔と言葉が浮かび、ピクリと体が反応した。

「うん、叱られそうだよね。でも自分の任務を無傷で終わらせられたら那田蜘蛛山に行っていいって言ってたから……そこまでは叱られないと思う。もう日が落ちて時間も結構経ってるし、那田蜘蛛山の任務も終わって……」

「苦戦シテイルト報セガ入ッテイマス。現在確認出来テイル鬼ノ数ハ四体、ソノ内交戦中ナノハ三体。風音サンガ予知デ見タ繭ノ鬼、蜘蛛ノ糸ノ鬼モ存命デス」

任務後に風音が那田蜘蛛山に赴くと想定していたのだろう、楓は……

「爽籟サンカラノ報セデス」

楓ではなく爽籟……つまり実弥が情報を集めて楓へと託していたようだ。
柱の情報収集能力に驚きつつ、風音の起こしそうな行動を完全に把握している実弥に驚嘆である。

「そ、そうなんだ。じゃあ楓ちゃん……行ってきます!お家で元気に再会しようね!って実弥さんに伝えてて?後、貴重な情報もありがとうって。楓ちゃん、また後で合流しようね、気を付けて」

コクリと頷いた楓を空へと放ち、風音は昨日見た光景、実弥に与えてもらった情報を頭の中で整理しながら任務地を後にして那田蜘蛛山へと急いだ。
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