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涼風の残響【鬼滅の刃】

第6章 贈り物と日輪刀


その日は大事をとって藤の花の家紋の家で世話となり、実弥に至ってはそこから警備へ繰り出し怪我人である風音を迎えに戻って来るという……他の柱や剣士を含む隊士からすると驚くほどの溺愛ぶりを知らず知らずのうちに発揮した。

風音は実弥が警備に繰り出したあと、寝るまでの時間で家の主人と何故か薬の話で盛り上がり、お世話になった礼にと傷薬と腹痛止めを贈ると物凄く感謝された。

明け方にすっかり仲良くなった二人に出迎えられた実弥はそんな二人に首を傾げながらも、少しずつ自分なりの速度で人と関わり笑顔になる風音にひっそり喜びを胸に抱いていたとか。

そうして風音にとっては一週間ぶりとなる不死川邸へと到着し、居間に実弥と共に腰を落ち着けてホッと息をついた。

「実弥さん、わざわざお迎えに来て下さってありがとうございます。ここ最近ずっと甘えっぱなしで恥ずかしい限りです。でも嬉しく思ってしまうから……」

「言葉遣い……何で爽籟には敬語じゃねェのに俺には敬語なんだよ」

風音キョトン。
何故……と言われても実弥に対してほぼ敬語が癖になっているので、理由を聞かれても上手く答えられない。

「えっと……命の恩人ですし師範ですし……爽籟君はお友達みたいな感じだから……ですかね?」

ワタワタと慌て忙しなく顔や手を動かしていると、目と鼻の先まで実弥の顔が近付き後頭部を押さえられて動きを制限された。
あまり……と言うより今までこんなことをされたことがなかった風音の顔が真っ赤に染まり、驚きと恥ずかしさで時間が止まる。

実弥の表情が真剣なので、それがまた時間を止める要因の一つとなっている。

「……稽古中とか任務中は師範に違ぇねェ。けどそれ以外、立場もクソもないはずだろ。お前をこの家に連れてきた日も言ったよなァ?自分家で敬語で話されっと落ち着かねェってよォ。いつまで他人行儀貫くつもりだァ?」

「そんなつもりは……なくて。恋仲と言えど年上の男の人だから、距離感と言うかどこまで踏み入ってもいいのやら……分からないんです。不快な思いはして欲しくなくて敬語をつかっていたら、癖になってたと言うか……」
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