第2章 密事〜禪院直哉〜
昔のことを思い出した。
「そういやそんな事もあったなあ。」
「今日の事も密事。」
「何で秘密なん?他に男いてるん?俺、みやびちゃんと付き合いたいと思ってるのに。」
「私は今はいないよ。だけど直哉くんにはたくさんいるでしょ?その人たちが可哀想だから密事にした方がいいかと思って………」
「な、何?たくさん?」
「美和ちゃんと、茜ちゃんと、詩織ちゃんと、後は……」
「待って!わかったから。何で知ってんの?」
「この前ちょっと気になって調べた。全部綺麗にしてくれたら直哉くんと付き合ってあげる。」
「ホンマ?」
「うん。」
「俺、ちゃんと綺麗にするよ。みやびちゃんの為に。」
「優しい直哉くんが好き。」
「みやびちゃんの全部が好きや。」
「直哉くん、チューして。」
そう言って口を突き出すみやびちゃん。
「ええよ。」
軽く口付けてから舌入れようとしたらみやびちゃんに押し返された。
「それは次会う時までおあずけ♡」
「またおあずけかい。」
実は俺、みやびちゃんが二十歳超えるの待ってたんや。
俺が想像してたんとまったく違う女になってたけど。
でもこっちの方が100倍ええ女やわ。
偶然再会したんやない。
鉢合わせするよう、俺が裏に手回して仕組んだんや。
俺は昔からこの子の虜やった。
でも、まだ黙っとく。
この事は誰にも言うた事ない。
俺の密事やから。