第5章 遮二無二〜伏黒恵〜
「ハァッ……ヤダ、らめぇ……」
「ヤダって……もっとしてって言ってるみたいに聞こえる。」
そういうつもりで言ってました。
「えへへ。」
「可愛すぎ。それ、他の男の前では絶対にするなよ。」
「えっ?ちょ、ちょっと、ヤダッ!」
体を反転させられ、背中に吸い付かれた。
背中も弱いのにぃぃぃ。
「ヤダって言ってもやめてやんない。」
背骨を指でツーっとなぞられ、うなじに吸い付かれる。
「アッ……ンンッ……もおっ……」
「ダメ?」
「恵……いじわるぅ。」
頬を膨らませる。
「可愛い……食べたい。」
「食べて。」
後ろを向き、キスをした。
「このまま待ってて。」
言う通りこのままの体制で待った。
そしたら、後ろから私に覆い被さった。
だから少しだけお尻を突き出した。
「ンンッ、アアッ……」
「うわ、ヌルヌル。」
後ろから突かれ、感じる肩を軽く噛まれて背骨に沿って舌が這う。
「ンンッ、アア、ンッ……それ、らめぇ!」
狂ってしまいそう。
感じやすい背中にポタポタと滴る恵の汗。
それさえも気持ちいいと思ってしまう。
好きなんだ。
本当にこの人の事好きなんだ。
こんな感覚生まれて初めてだ。
本当に飛んでしまいそう。
もう、何も考えられない。
ただただ背後にいる男が好きって事だけ。
今はそれだけでいい。
それだけで。
恵が好き。
好き。
「みやび、みやび!」
ん?
何?
「みやび?」
「め、ぐみ?」
気づけば仰向けに寝かされてて、恵が上から覗き込んでいた。
「大丈夫か?何かいきなり声出さなくなって体の力が抜けてたから。」
「何も考えられなくなって真っ白になっちゃった。」
「ごめん、やりすぎた。」
「よかったよ。気絶するぐらい。」
本当は少し怖い気持ちもあったけど、それは恵には言えない。