第12章 女神の歌
クラーゴンから逃れ海を渡る。
朝日が昇り一同は清々しい気持ちで朝日を見つめた。
「見て!素敵なの朝日ね!まるでアタシたちの船出を祝福してくれてるみたいだわ!」
シルビアが気持ちよさそうに叫ぶ。
しかし1人その朝日を見られてない者の事が気になった。
サランは船の端っこでクタっと項垂れていた。
「サランちゃん…アタシたちのために歌うのは控えましょう?
アタシ…心配だわ。」
「シルビアさん…ごめんなさい、心配かけさせてしまって…。
でも、私はどうってことないです。
……歌うことで人のためになるなら、この声が枯れるまで歌うことだって!」
サランはシルビアを真っ直ぐ見つめた。
「でも、毎回こうなるとアタシ見ていられなくて…」
2人の様子を見ていたアリスがうーんと唸った。
「もしかして、女神の歌ってやつですかね?」
「女神の歌?」
シルビアがじっとアリスの方を見た。
「あっしもちょっと聞いたくらいなんですが、なんでも奇跡の歌で魔を祓う…なんておとぎ話だとは思ってたけど。」
「女神の歌ね…」
サランが辛そうにしているのにそれが女神の歌と言われることにシルビアは納得いかないようだった。
「ねぇ、サランちゃん?
もしもアタシたちに何かあった時
その方法しかなくてもその歌い方はやめて」
「え…?」
「女神の歌なんて、どういうものか私には分からないわ。
でもアタシたちは助かるためにあなたを犠牲にしたくないの。約束して」
そういうとシルビアは短剣を渡した。