第10章 海の町の子
シルビア達と分かれたサランはラッドとヤヒムとでお茶をしていた。
(私…そんな足でまといなのかな…?)
ボーッと注がれたホットミルクの湯気を見つめ考え事をする。シルビアに子守りを任されたことについて不安に思っていた。
「なぁ、ねーちゃん?」
ラッドがおーいと手を振る。
「あぁごめんなさいそれで?」
「いや、なんか今来たお客さん見た?」
ラッドが指さした方を見つめると黄色の長髪を1本に結び身体は銀に輝く甲冑で身を固めた男性が店主に話をしていた。
「あの人がどうかしたの?」
振り返るとヤヒムがかたかたと震えていた。
「ヤヒムくん?」
ヤヒムは明らかに顔を強ばらせている。
きっと彼となにかあったのかとサランは察した。
「ここを出ましょう。ラッドくん、ヤヒムくんを頼んでいい?」
席を立ち上がろうとした時、その男がサランに声をかけた。
「おや?ここではあまり見ない顔だな。
旅の人か?しかし…?」
男はラッドとヤヒムを見つめた。