第10章 海の町の子
ダーハルーネでは人々が生き生きと生活していた。
大きな港町とあり、町人以外にも行商人や観光客で賑わっている。
「なんて美しい町なのでしょう…!
海の上に町が浮かんでいるみたいですね!」
セーニャが感嘆の声を漏らす。
その言葉にはサランも確かにと頷いた。
「ダーハルーネって世界で1番でかい貿易の町なんだろ?
大金持ちや商人も御用達らしいぜ?」
カミュも興味津々と町を見回す。
「へぇ…シルビアさんそういう所に船を停めてたんですね。
私知らなかった…」
サランがシルビアの知らないことがありしょぼんとする。
もともと、謎多き旅芸人と言うほど掴みどころがないから仕方ないといえば仕方ないかもしれないがそれでも多かれ少なかれショックはあった。
「え、そんなすごい町に船を泊めてるシルビアさんて…もしかしてすごい人なんじゃ!?」
ベロニカが大声で叫ぶのをシルビアは笑ってあしらった。
「ベロニカちゃん?そういう詮索は野暮ってモノよ
さぁ!アタシの船ちゃんがおやすみしているドックに行きましょう!」
そう言うとシルビアはまたルンルンと足取りを弾ませた。
(知らないことの方が多いのは何となく分かってたけど…船まで持ってたなんて…)
サランはしょぼんと肩を落とした。