第80章 優しいよるだった
サランの様子を見ないかと提案したのはマルティナだった。
「あなた達、恋人同士でしょ?
せっかくだから見てあげなよ。」
シルビアはマルティナの発言にちょっと驚いた。
しかし直ぐに嬉しそうに笑った。
なんと言ってもサランの寝顔を見るのはシルビアにとって好きなことの1つだったから。
シルビアはマルティナとサランの寝る部屋にやってきた。
スゥスゥと規則正しい呼吸がベッドから聞こえてくる。
「それじゃあ、あたしはちょっとカップとか軽く洗ってくるから。」
マルティナはそういうと部屋をあとにする。
「ありがとう、マルティナちゃん。」
シルビアの言葉にマルティナは笑ってうなづいた。
2人きりになりシルビアはサランの頭を優しく撫でる。
それが心地よかったのかサランは寝ててもふにゃっとした笑顔になった。
「うふふ、ほんとに変わらないわね。」
サランがシルビアに心を開いたあの頃を懐かしく感じる。彼女が警戒心なく眠れる。そんなことがシルビアにとってとても嬉しかった。