第76章 カミュの過去
その首飾りが良くなかった…。
首飾りの力は物を金に変えた。
マヤが一生懸命に磨いていた銅貨も木のコップも銅で出来たランプも。
手当り次第マヤは物を金に変えていった。
「随分増えたな…。」
カミュはその能力を荒使いしていることに戸惑っている。
「兄貴にも少しあげようか?」
マヤがそう言ってカミュに差し出したのは鳥の形をした金だった。
それは明らかに命すらも金に変えてしまったということがカミュには分かった。
カミュはマヤを叱る。マヤも金にしてしまった鳥を見て少しは改めようと思ったらしく、首飾りを外そうとした。
「はいはい、わかったよ。首飾りの力は当分使わないから。」
マヤはそう言ってから、首飾りに手をかけた。
しかしいくら外そうとしても首飾りは上手く外れそうになかった。
「兄貴ー!首飾りが取れないんだけど。」
「そんなはず…」
「嘘じゃないんだってば!」
マヤはガチャガチャと無理やり首飾りを外そうとした。
首飾りが紫色に光り始める。
「なんで!?おれ、何もしてないのに!」
そう言ったマヤの体は胸元からじわじわと金になっていく。
カミュが首飾りを外そうとしたがカミュは弾かれた。
たちまち、マヤの体は金に侵食されていく。
カミュが手を伸ばしたが間に合わなかった。
マヤは金になってしまった。