第75章 カミュの秘密
その声が聞こえたのかサランはカミュをちらりと見た。
「カミュさん?大丈夫?」
カミュは何も答えない。
そんな2人をよそに神父は話を続けた。
「神父として彼らを救えなかったことが心残りでした。だからこそ、今彼がこまっているなら力になりたいと思い」
「やめてくれ!」
カミュは突然叫び出した。
みんなが驚く中、カミュはため息をついて頭を抱えた。
「しばらく1人にしてください。」
カミュはそう言うと1人で教会の外へ出ていった。
「すみません…カミュの気持ちも考えず。
みなさん彼を頼みます。
私もあとから追いかけるので。」
そう言われ真っ先にサランが歩き出しカミュを追いかけた。
カミュはクレイモラン城下町から出て少し歩いた場所に立っていた。
「カミュさん…?」
サランが声をかけるとカミュは振り返り申し訳なさそうに視線を逸らした。
「サラン…さん?すみません。急に飛び出してしまって…でもオレ…」
「カミュさん、無理しないでください。」
サランは優しく微笑んだ。
今1番辛いのはカミュ自身だと言うこともよく分かっている。
だからこそ、サランからは彼を労る言葉が出てきた。
カミュもサランの雰囲気にどこか、安心感が芽生えたのか笑った。