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月夜の歌姫

第74章 奇病黄金病


光の柱に着くとブレインは慣れた手つきでマーメイドハープを奏でる。
以前と同様に不思議な波の膜が現れ船を包み込む。
少しすると海中からまた船が場所を変えて姿を現した。

「おぉようやっとクレイモランが見えたわい。
さて、こうなった原因を突き止めに行くとするか。」

ロウは安堵の表情を浮かべると船を降りる準備をした。
船から降りてクレイモランへと歩く。
カミュが不安そうな顔を浮かべた。

「どうかしたの?」

カミュの表情を見てサランは心配そうに声をかける。

「……なんだかすごく胸がザワつくんだ。」

「なにか、記憶に心当たりとかは?」

カミュは困って首を横に振る。
サランはそれ以上何も言えなかった。
カミュが以前クレイモランにやってきた頃、クレイモランに入らずにいた事を言うべきなのか分からなかった。

「どうしたの?カミュちゃん。サラン?」

なかなか歩みを進めない2人にシルビアが振り返った。

「いえ、なんでもないです!
カミュさん、考えても仕方ないですよ。
とりあえず今は私たちと行動しましょう?」

サランに言われカミュは渋々納得して歩みを進めた。
クレイモラン入口に着くとロウは厳しい顔をする。

「あれほどの大惨事のあとじゃ…
クレイモラン城もタダでは済むまい…
シャール女王の安否を知るために1度クレイモランに入るとしよう。」

一同はクレイモランに足を踏み入れることにした。

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