第72章 記憶喪失の少年
「クレイモランの北に海にそびえる光の柱があったはずじゃ。
そこからクレイモランの入り江に行けないか試してみるとしよう。
なにか道が開けるかもしれん。」
カミュが不安そうな不思議そうな切ない表情で入口を塞いでいる黄金を見つめた。
「何か、思い出せそう?」
カミュの表情を見たサランが心配そうに声をかけた。
カミュはサランの言葉に無言で首を横に振る。
シルビアはロウの話を聞いていたのか舵を取った。
「北の方ね?じゃあそっちに船を動かすわよ!」
グルグルと舵を切り船は大きく旋回する。
不安気なカミュにサランが話しかける。
「大丈夫?」
「あ、サランさん。はい…なんだかさっきの黄金のことを考えてたら妙に胸騒ぎがして。」
「そっか…」
大陸に沿う様に船が進んでいく。
しばらくするとひゅうっと強い風が吹いた。
サランが空を見上げる。
「なんだか雲行きが怪しいね…
嵐が来るのかしら?」
カミュも空を見上げた。
厚い灰色の雲が空を覆う。
次第に雨が降り風はより一層、強くなった。
「ん?ロウちゃん?あれかしら?光の柱って!」
シルビアが指をさす。
そこには海から光の柱がそびえ立っていた。
「おぉ!そうじゃあれじゃ!」
ロウが光の柱を見て頷く。
光の柱へ近づこうと、船を進めた時だった。