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月夜の歌姫

第63章 再会と別れと再出発


船に着くとアリスが出航の準備を整えてくれていた。
久しぶりに見るアリスにサランはどこか嬉しくほっとする。

「アリスさん!お久しぶりです!」

「ん?おぉ!サランさんじゃないですか!
生きていたんですね!」

「えっと、1回…死にました。」

「えぇ!?」

そんな二人の間にシルビアが割って入った。

「話せば長くなるからとりあえず海に出ましょう?
アリスちゃん、船はどう?」

「バッチリ!いつでも出すこと出来ますよ!
それじゃあ、サランさんまた後で。」

どしどしと歩く彼の背中について行く。
全員が乗り込んだことを確認すると船は動き出した。

「いや〜こうしてブレインさんたちを乗せてまた航海出来るなんて、航海士アリス。感謝の極みでゲスよ!」

嬉しそうに舵を取るアリスにブレインは優しく笑った。
サランは久しぶりの船に景色を眺めながら髪をなびかせている。

「そういや、こんな話知ってるでげす?
バンデルフォン地方のネルセン宿屋に泊まるとみんな同じ夢を見るんでげすよ」

アリスの話にロウが振り返る。

「同じ夢を見るじゃと?そいつは気になるのぉ?
ひとまず、そのネルセンの宿屋に向かうとしよう」

ロウの提案にみんなが賛成したので一同はまず、バンデルフォン地方へと向かうことにした。
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