第63章 再会と別れと再出発
次はサランが語る番になった。
「私は…まずユキがホワイトパンサーになってて
この町の人が魔物に襲われていたから助太刀に入ったら魔物を連れてるって嫌な顔されちゃって…
でもそこにジエーゴさんがやってきてしばらくこの町に住まわせてもらってました。」
「えぇパパからほとんど聞いたわ、それで…
サランは1度命を落としたって。
パパたちを守るために歌ったから…」
シルビアの悲しそうな表情を見てサランは申し訳ない気持ちになった。
得体の知れない力を使うような歌を歌うのはやめて欲しいと言われていたから。
でもあの時はそうするしかなかった。全員がやられてしまうくらいなら自分1人だけでも。
「ごめんなさい。でも私一人の命でみんなが生きるなら、六軍王と名乗る強い魔物を追い払えるならと思ったんです…」
サランの言葉にシルビアはギュッと彼女を抱きしめた。震えるくらい力が入りサランは少しの息苦しさを感じる。
「お願い…そんな事言わないで…アタシはあなたを失うのがとても怖いの。
……でも、パパ達を守ってくれてありがとう」
シルビアの瞳には涙が浮かんでいた。
サランはその涙を優しく親指で拭うとそっと頬に触れる。
「シルビアさん…ここで言うのも不思議な話だと思いますがいいですか?」
「なに?」
「シルビアさんにキスがしたいです。」
シルビアはガバッと抱きしめるために密着していた体を剥がし、サランを見つめた。