第61章 前を向くために
サランは静かな家の小さな頃住んでいたベッドの上で目が覚める。
外では鳥が鳴いているのが懐かしさを感じる。
母親と一緒に寝ていた寝室を出るとフワッとシチューのいい香りが鼻をくすぐった。
(お母さんだ!)
パタパタとキッチンに行くと母親がそこでシチューを作っていた。
「お母さん!」
サランの母はゆっくり振り返ると優しく微笑んだ。
「サラン…おはよう。まだ寝てても良かったのに。」
「ううん!お腹すいちゃって。なんかすごく長い夢を見てた気がするんだよね」
「そう、どんな夢?」
「えっとね?男の子2人と女の子3人、男性が2人と一緒に色んなとこに行ってたの。モンスターと戦ったりみんなでキャンプしたり!
でもそこにお母さんがいなくて…」
サランはしょぼんとする。