第59章 闇を愛するものと光を願うもの
不思議な力がサランの周りを包み光が胸元へ行くと小さく確かに心音が響き始めた。
息も浅いが確実にしている。
「ひとまず、命は取り留めたかと。
ただ…私にこれ以上は何も出来ないです…」
神父は申し訳なさそうに頭を下げた。
「いや、これだけでもじゅうぶんだ…ありがとう」
セザールはサランを抱き上げたまま、ジエーゴは教え子に支えられながら屋敷へ戻った。
サランが借りている部屋のベットにサランを寝かせるとすかさずユキがベットの傍にピッタリくっついて離れない。なんども手を舐めるがユキを撫でてくれる手は動かなかった。
「今は寝かしておきましょう?あとでわたくしめが薬草などで治療できないか試みてみます。」
セザールの言葉にジエーゴはあぁとうなづいた。
2人は部屋から出てサランとユキだけにしてあげた。
「あの…」
ジエーゴの教え子の1人が短剣を持ってやってきた。
「これ…サランさんの近くに落ちていました。
いつも、大切そうに持っていたので…」
セザールは大切に短剣を受け取る。
短剣の持ち手部分に付いている真珠がキラリと光った。