第59章 闇を愛するものと光を願うもの
ジエーゴの屋敷にてお世話になってしばらく経った頃。サランもようやく前を向いて日々を生活できるようになった。気分がいい時は鼻歌を歌ったり暗い世界でも明るく生きる希望を保っている。
みんなが暗くなっているからこそ前を向く誰かが必要。きっとシルビアならそうしてる。そう思ったサランはふとした時に仲間や大切な人を思い出し心が潰されそうになっても前を向いていた。
「サラン様もユキ様もすっかりこの町に欠かせない存在になりましたな。」
セザールが窓からサランたちの様子をにこやかに見つめている。
「あぁ、しかもなかなかの手練れときちゃあ俺が出る幕すら奪われてら」
ガハハと大きな声を出してジエーゴは笑った。
それを見たセザールも上品に笑う。
「ご主人様も最近お身体が優れないのですからご無理は禁物ですからね。」
「なぁに、そう硬ぇこと言うなよ。」
サランのおかげで町の人々にも少しずつ笑顔が戻ってきていることに2人は嬉しく思った。