第58章 笑顔を届けるために
ニコスはシルビアに近づくとキッと強い目で見つめる。
「シルビアさん。」
強く、真面目な声で彼の名前を呼ぶとシルビアも分かっているかのようにうなづいた。
「次、ここへ帰る時はパンチョ達ももちろんだけど。
絶対にサランも見つけて帰ってきてください。
サランが帰ってくる頃には私だってあの子の歌で踊れるくらいの一流の踊り子になってるから」
シルビアは力強くうなづいた。
「えぇ約束するわ。ここに戻る時は必ず…必ずサランも一緒に…!」
それを聞いたニコスはホッとしたようにニッコリと笑った。ニコスと団長はシルビアを見送ると何かが吹っ切れたような笑顔を互いに向けた。
2人の思ってることは同じらしくサーカステントに戻っていく。
「さーてと!明日からも踊りを極めますか!」
「ハッハッハ、相変わらず精進なことだ。」
「そういう団長もでしょ?」
2人の笑い声がサマディー王国に響いた。