第57章 歌姫とホワイトパンサー
ガルルと咆哮が聞こえベロリと湿った何かが頬を撫でてサランは目を覚ました。
「うぅ…ここは…」
サランが目を覚ますとホワイトパンサーが目に入った。ちょこんと座りサランを見守っている。
「…きゃあ!魔物!!」
サランが驚き声を上げたがホワイトパンサーは少ししょぼんとした。普通の魔物なら襲ってくるはずだがそのホワイトパンサーは様子が違った。
目を覚ましたサランを嬉しそうに見つめゆっくりと近づいてくる。サランの周りを回ったあと頭を撫でてと言わんばかりに大きな体を寄せてきた。
サランはその様子と足の傷跡を見てなにかに気がついた。
「もしかして…ユキ…?」
ユキと言われたホワイトパンサーは返事をするようにガルルと声を上げた。
気づいて貰えたのが嬉しかったのか目を細めてペロッとサランの頬を舐めた。
サランは周りを見回し仲間が居ないことに気づいた。