第5章 ファーリス杯の前夜
サーカスも無事に閉幕しシルビアが後片付けをしているとサランがパタパタとやってきた。
「シルビアさん、あの…明日は早いんですよね?
片付けは私達もやるので休んでください」
「あら?サランちゃん。大丈夫よ!アタシの心配してくれるの?
嬉しいわ〜!でも、みんなでやった方が早いわよ?
だから一緒にやりましょう?」
サランの申し出はあっさり断られてしまった。昔からサランの申し出は断られることが多かった。
しかし、シルビアの言った通り手分けすれば早く片付けも終わった。
「お疲れ様、すっかり遅くまで手伝わせてしまったわね」
「いえ、シルビアさんも明日早いのに。」
ホットミルクを2人で並んで座って飲む。
蜜入りミルクは疲れきったサランの身体も心も癒してくれる。
「明日のレース、応援してますから。」
「あら、うふふ。ありがとう。
私もマーガレットちゃんと頑張るわ!」
にこりと優しい笑みをサランに向けると立ち上がり先に部屋に行くわねと言い歩いていく。
(この人はぜんぜん変わらないなぁ…
ちょっと不思議なところもあるけど)
サランも立ち上がりシルビアの後を追った。