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月夜の歌姫

第55章 前夜


大聖堂を抜けるとすぐに外へ出てから進んでいく。
ユキは外に出た途端ぴょんとサランの羽織っていたフードマントから飛び出した。

「フフ、ユキはいいこだね。
ちゃんと中で待ってられて。」

サランに撫でられユキは嬉しそうに目を細めた。

「いよいよ、大樹ちゃんに会うのね…。なんだか緊張してきちゃった。」

「シルビアさんも緊張するんですね。」

サランはおかしく笑った。それに対してシルビアが少しムッとする。

「アタシ、サランに告白する時もとても緊張したのよ?分かってて?」

それを聞いてサランはまた笑った。嬉しいような恥ずかしいような感覚がくすぐったく感じて笑みがこぼれる。

「そういえば最近は扇で戦ってるように見えるんだけど、短剣はもう使わないの?」

「ダーハルーネでもらった短剣はメルトアと戦ってる時に折れちゃって…真珠の付いた方はお守りとして持っておきたくて。
やっぱり使い慣れた扇の方がなんか安心するんです。」

肌身離さず持っていた短剣を懐から出すと愛おしそうに撫でた。

「でも、ほんとに危なかったら使うのよ?」

「分かってます。そういうことが起こらないといいけど…。」

サランは短剣をしまった。

道なりに進むとすぐに始祖の森へとたどり着いた。

「祭壇はこの先にあるはずだわ。さ、行きましょう?」

始祖の森では見たことの無い魔物たちがうろうろしていたがブレイン達の敵ではなかった。

森を進んでいるとロウがへこたれた。

「ロウさん…?大丈夫ですか?」

サランがロウに駆け寄る。それに続いてシルビアも駆け寄ってきた。

「流石にこの歳での山登りは堪えるのぉ…」

息を切らし苦しそうにしている。

「山頂までもう少しかかるし、大樹ちゃんに会う前の大事な時期だから少し休みましょう?」

ブレイン達はキャンプ地にて1度休むことにした。
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