第53章 双子のふるさと
山をのぼり先へ進むと町とも村とも違う集落が見えてきた。山には大きな女神像が祀られている。
集落の人々は外に出て祈りを捧げていた。
その雰囲気にベロニカとセーニャ以外が息を飲む。
「なんだかこれまでとはずいぶん雰囲気が違うわね…
険しい山道の先にこんな神秘的な場所があるなんて」
マルティナの言葉にベロニカがえへへと照れ笑いした。
「マルティナさんたら、自分の故郷を神秘的な場所なんて言われるとなんだか照れくさいわね。」
ベロニカが『自分の故郷』と言うとサランが驚いた。
「じゃあ、ここがお二人の生まれ育った故郷?
聖地ラムダの方だったんですね。」
カミュがそういえばと話してくれた。
「ホムラの里でこいつらと初めて会った時そんなこと言ってたな。まさか、始祖の森の手前の所からあそこまで来るなんて相当時間かかっただろうに。ここが2人の故郷なんだな」
「はい、ここが私たちのふるさと。命の大樹と共に世界を見守ってきた神語りの里ですわ。」
セーニャの言う通りとても神聖で住んだ空気が流れているように感じる。
「静かすぎて退屈な場所だけどやっぱりここに来ると落ち着くわね。」
ベロニカもうんうんと頷く。
サランはラムダの空気に心が洗われるような心地良さを感じた。