第51章 暗躍ホメロス
サランは、久しく見ていなかった夢を見始める。それは鮮明でとても夢だとは思えないくらいの現実に近いものだった。
まるで森の中のような場所、そこは何となく大樹の内部なのでは?と思った。
大樹の中心には光り輝く玉の様なものがある。
そこへ、誰かが近づくのが見えた。
金髪の男と到底人間だとは思えない背中、彼らが大樹の中心に何かすると大樹の崩壊が始まる。
そして、金髪の男が振り向き顔を見るとサランは何かが繋がったような顔をした。
「軍師…ホメロス!?」
ホメロスはニヤリと笑いサランに近づく。
「悪魔の子勇者といい貴様と言い邪魔してくれたが、案内ご苦労だったな。」
そう言うとサランの首を掴み片手で持ち上げた。
「やめ…」
ギリギリとホメロスの手の力が強くなる。
ホメロスが魔王側なら全ての辻褄が合う気がした。
なぜ、子どもの喉を潰したのか。
ダーハルーネの時にきっとクラーゴンを操っていた。
魔物と話をするのも魔王側の人物なら容易い。
なぜもっと早く気づけなかった…
喉の苦しさが夢のはずなのにやけに現実味を帯びている。
今にも気を失いそうになる。
遠のく意識の中、ホメロスがなにか違う魔物みたいな怪物になるのが見えた。