第50章 さらなる先へ
船に戻ったサランはスノーベビーを抱えながらふと呼び名に困った。
「そういえば、名前決めてなかったね。
雪原…雪よね…ユキとか?安直かな?」
ユキと呼ばれたスノーベビーはにゃうんと鳴き、小さな舌でぺろぺろとサランの手を舐める。
「ユキ?ユキでいいの?」
ユキと呼ばれたその子はゴロゴロと満足気に喉を鳴らした。
「魔物が人に懐くことなんてあるんでがすね。
サランさん、お茶を飲んでくだせぇ。体が暖まるでがすよ。」
アリスが熱めのお茶を持ってきた。
「ありがとうございます。私も最初は不思議に思いましたよ。でもこの子がどんなに自分の居場所へ帰りなさいと言っても聞かなくて…」
アリスからお茶を受け取り1口飲むと胸の中からホッコリするような安心感に包まれる。
「それほど、サランさんに心を許したってことでしょう?いいじゃないですか!
それに、ピンチに駆けつけてくれたなんていい相棒を見つけたも過言ではないでがす。」
アリスのガシッと強い言葉にサランは嬉しく笑った。相棒か…と心の中で呟く。
そうなるといいなとサランはユキを撫でた。
「おーい、サラン!」
カミュの声が聞こえサランは船から顔を出す。