第5章 ファーリス杯の前夜
サランが去ったあと、入れ違いに町兵がやってきた。
「失礼、この中で乗馬に長けた者はいませんか!!」
「…ん?何かしら?」
「なにあれ?」
ニコスとシルビアは兵士の元へ歩いていく。
町兵は2人に気づくとお辞儀をする。
「いきなり失礼しました。
私レース管理の者でして、今お時間よろしいでしょうか?」
2人は顔を見合わせた。
「それで?なに?」
ニコスが少し強めに兵士に聞く。
「はい、実は…レース優勝有力候補だった選手が怪我をしてしまいまして代わりの者を立てよと王様から命を受けまやってまいりました。
町の人にも聞いたのですが王子と張り合える者はいなく…。」
シルビアはふーんと鼻を鳴らした。
「シルビアねぇさん、どうする?」
ニコスがチラッとシルビアの様子を伺う。
「レースは明日だったわよね?」
「はい…もちろん、そちらのサーカスの都合は十分理解しております。」
「今夜の公演に響かなければいいわ。」
シルビアの言葉にパァっと兵士の顔が晴れやかになる。
「ありがとうございます!では明日朝にこちらの招待状を持ち、レース会場にお越しください。」
兵士は一礼するとその場を後にした。