第46章 怪我した子
白に黒の斑点がありとよろよろ歩くその後ろ姿の魔物に近づいた。
その魔物はサランが近づいたことに気づくと怯え、フーっと息を荒らげる。サランはゆっくりしゃがむと優しく手を伸ばす。
「大丈夫、何もしないよ。安心して?」
優しい声をかけられ敵意がないと感じたその魔物はフラフラとサランにゆっくり近づいた。サランはそこで魔物の後ろ足に怪我をしていることに気がつく。
「やっぱり…。」
魔物を抱き上げ怪我の様子を覗う。
抱っこしてみんなのところに戻る。
「おいおい…魔物なんか拾ってどうすんだよ。
それに怪我してるじゃねぇか。」
カミュが訝しげにサランを睨む。
「うん…でも見てたらほっとけなくて。
もしかしたらお母さんとはぐれたのかも。」
「そんな魔物どこにでもいるだろうが。
第一、母親が戻ってきて俺たちが怪我させたと思わせたらどうする。
攻撃されかねねぇぞ。なぁ、シルビアお前からも言ってやれよ。」
シルビアはじっと魔物とサランを見つめる。
「サランは治してあげたいの?」
黙り込んでこくんと頷く。
「……助けてあげたい優しい気持ちを無下にするなんてアタシにはできないわ。サラン?なんかあったらすぐに言いなさい。」
サランの顔がぱぁっと明るくなりありがとうと連呼した。