第44章 氷に包まれた都市
船でロウの言う通り海を進めていくと次第に気温は下がっていき、雪が降り始めた。静かに降る雪の光景にサランは船から身を乗り出しそうになるほど興奮していた。
「サラン、危ないわよ?」
マルティナがサランの隣に立ち見守る。
「雪…初め…て…見た…んです!
こんな…に…綺麗…なんで…すね」
クレイモランに近づけば近づくほど降る雪の量が増える。その様子にロウはすぐに港に着くだろうとうなづいた。やがてクレイモラン近くの港に船を停め一同は降りてクレイモランに向かった。
「さぁ着いたぞ、美しき雪の都クレイモラン。ここにはブルーオーブがあったはずじゃ。」
「うー寒い寒い!雪とかどうでもいいから早く中に入りましょう!」
ロウの説明を一蹴りしベロニカはカタカタと震えている。中へ入ろうと先へ進むがベロニカはその異変に気づく。そっと扉を触ってみると異様な冷たさに尻もちを着いた。
「え!?これ氷じゃない!?城門が氷漬けになってるわ!?」
セーニャが隣に来てしゃがみ込んだ
「ほんとですわ、お姉様。なぜでしょう?
やっぱりゆさこの寒さで凍ってしまったんですかね?」
「寒いと…扉も…凍る…ですか?」
セーニャの疑問にサランもキョトンとする。何せ雪を見るのも初めてだったのでセーニャの見解に納得してしまった。
「もう、そんなわけないでしょ?いくら寒いからって城門を凍らせちゃったら町の人はどうやって生活するのよ。」
それもそうだなとサランは思った。