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月夜の歌姫

第43章 休息を取りに


じんわりと嫌な汗が出てくる。

「……!!」

ガバッと起き上がって辺りを見回す。
セーニャたちがすやすやと気持ちよさそうに眠っていた。

「……夢?だよね…?」

ハァハァと息を整えぐっしょりと嫌な汗に濡れた衣服が気持ち悪く肌にくっつく。

(まだ朝じゃないけどお風呂屋はやってるのかな?)

のそりと起き上がり着替えを持っていく。
夜明け少し前の薄暗い空は青みがかっていて空気が澄んでいる。

お風呂屋へ行くと女将さんらしき人が開ける準備をしていた。

「…おや?あなたは昨日の?
どうされました?」

「…ちょっと、怖い…夢…見て…汗…かいちゃった…
今、やって…ますか?」

「まだ、開店前だけど。そうね~。
この時間はあなたしかいないみたいだしいいわよ。
さぁ、こちらへどうぞ?」

サランは女将の後を着いていき風呂場へと通された。
1人でゆっくりと湯気の温かさを感じ深く息をする。

(やっぱり気持ちいい)

汗で冷えた体がじんわりと温かくなるのを感じていく。

(それにしても…)

なぜセレーナという名前が頭に響いたのか、そして大樹の崩壊と双頭の鳥のマーク。
何を意味するのか…

(ほんとにあとちょっとで思い出させそうなんだけどな~)

コンコンと自分の脳よ、動けと叩いてみるがもちろん効果はない。

(とにかく、あのマークは覚えておかなきゃ…
きっと何かあるはず…)


一通り気持ち悪かった汗を流してから外に出ると、日が昇り始めていた。

「おぉ…」

枯れかけた声でも感動の声は漏れるのは少し嬉しいことだと感じる。
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