第40章 喉を枯らしても
その間にもカミュはブレインに襲いかかりセーニャはベロニカと対峙していた。
「アタシが2人の魅了を解かせたら早いのに!」
しかし、襲いかかる触手の相手をしながら2人に近づくことすら出来ずにマルティナとロウと3人で触手の相手をする。
(みんなが…戦ってる…。自分も、何とかして…メルトアを…止めなきゃ…)
しかし動かなかった間に少し体力が戻ったとはいえ自分を吊り下げてる茨から抜けるほどの力はない。
歌で力を与えようにも声が届くか分からない。
(………それでも!)
サランは軽く息を吸い、静かに歌い出した。
あなたは儚い美しさを知っていますか
命の灯火、わずかな光
それは一瞬の出来事のよう、
永遠より尊く、未来永劫より深い
それでもあなたは永遠の美を求め彷徨うのですか
短き命を燃やし、戦う
私たちは永遠なんかに負けない。
今あるこの命、一瞬の暇を紡ぎて輝かす。
ほんとうの美しさをあなたは知らない
今を生きる者の邪魔をしてはいけない
メルトアの身体が少しずつ自由が効かなくなっていることに気づく。
ーーなんだ、何が起こっている。
メルトアの手には光の枷が着けられたかのように光る輪が着いていた。