第38章 壁画の中の世界
茨がみなの背後に迫ってくるのが見えた。
「とにかく今はここを1度離れた方がいいかと思うわ。まず、あたしたちが無事に逃げられなかったらサランのことも助けられない。」
マルティナの意見にはみんなが賛成する。
まっすぐ進むと空中に光る裂け目のような物が浮かんでいた。
「これは一体、なんでしょう?
…あ!この裂け目、外の壁画にあった傷じゃないでしょうか?」
セーニャの疑問にベロニカも気がついていたらしくうなづいた。
「きっとそうよ!ここから出られるかもしれない」
また、地響きがなる。
振り向くともう、すぐそこまで茨が迫っていた。
「考えている時間も無さそうだ。」
カミュは真っ先に裂け目へと飛び込む。
それに続いてベロニカ達も飛び込む。
しかし、シルビアは飛び込むのを少し躊躇った。
「シルビア?早く!」
ブレインの声にハッとして前を向く。
「あ、アタシやっぱりサランを助けなきゃ!」
引き返そうとするシルビアの手をブレインは掴んだ。
「今ここで戦っても僕たちに勝ち目はない。
1度体勢を整えよう。」
ブレインに引かれシルビアも脱出をした