第38章 壁画の中の世界
キレイな色に輝く、その光は私だけの光
渡さないこの輝きはあなたのものにはならない
あなたには屈しない、何があっても屈しない
ーーカカ、ついに狂ったか
歌なんぞ歌って何になる。
声に反応せずただただ、無心で言葉を紡ぎ旋律を奏でる。
色の無い世界にあなたの居場所はない。
あなたは色を混ぜすぎた。綺麗な色を求めすぎた。
混ぜた色は戻らずやがて黒に染まる。
白に戻ることを夢見て色を足していく。
見えないか?あなたの色はもう黒く濁りきっているのとに
気づかないのか?もう綺麗な色ではいられないことに
サランの言葉に応えるように茨はギチギチと腕を締め上げる。
その痛さにサランは顔を歪めるが歌うことをやめなかった。
喉も痛くなりどことなく血の味を感じる。
ーーええい!やめろ!耳障りだ!
鳥の金切り声の方がよっぽどましだ!
それでもサランは歌い続けた。
黒に染まったあなたは醜く誰も見てくれないだろう
美しい輝きは未来永劫、塗りつぶされた。
見えてたか?あなたの色の悲鳴を
きづかなかったのか?自分が黒くなっていくことに
ーーやめろ!!
茨がギリっとサランの首を締める。
首を絞められたことによりサランの歌が止まった。