第30章 月の涙
スラリとした銀色の短剣をすごいと眺める。
「これは?」
「お守り…代わりになったら嬉しいわ…
本当はアクセサリーとかの方がいいと思ったんだけどね。まだ何があるか分からない旅だから。」
キラキラと銀色に輝く持ち手の真珠を見つめ優しく微笑む。
優しく時折、虹色にも見える真珠はまるで月みたいだなとサランは感じた。
「綺麗…。まるでこの真珠は月みたいですね。」
「月…そうね。寂しい夜に優しく照らす。
あなたみたい。」
「でも、月は1人ですよね…。
夜空にただ1人浮かんでて…。」
サランは空に浮かぶ月を見つめた。
その月は夜空に1人ぽっかりと浮いている。
「でも、太陽があるわ。
月は太陽の光を反射して輝いてるのよ。」
「そしたら、私にとっての太陽はシルビアさんですね。」
にっこりと嬉しそうに笑うサランにシルビアは無意識にもドキッとしてしまう。
「フフ、嬉しいこと言ってくれるわね。」
「だって本当のことですよ?
シルビアさんが私のこと見つけてくれて、シルビアさんの光のおかげで私はここにいられるんですから。
この短剣、お守りにします!
でも、シルビアさんにも守られたい…」
「あら?アタシはずっとあなたのこと守るわよ?
命に代えてもね。」
「それ、シルビアさんが先に死んじゃったらずっとじゃないですよね??」
ムスッと頬を膨らませるサランにアハハとシルビアは嬉しそうに笑った。
「大丈夫!あなたを1人にはしないわ。
約束する。」
シルビアが優しく笑い、サランも微笑む。