第30章 月の涙
シルビアはぐっすり寝ているサランに安心したので、ナギムナー村に入っていった。
祝賀会の途中で村人は酒場でクラーゴン討伐の宴にほろ酔いで楽しんでいた。
シルビアもお酒を貰いその場の空気を楽しむ。
「久しぶりに美味しいお酒が飲めたわ。」
潮風が優しく頬を撫でる。
お酒に弱いわけではないが、少し熱くなった頬が風の冷たさに心地良さを感じる。
ーーーあら?
ふと桟橋付近に何かがキラリと光った。
シルビアはそこに行き光るものを手に取る。
「貝?」
「おめさ、それは真珠貝だべさ。」
漁師らしき男がシルビアに教えてくれる。
「真珠が採れるのもだが、その貝は食うことも出来るんだ。」
「へぇ〜そうなのね。」
「どれ、それをおらに貸してみ。」
シルビアは男に貝を渡した。
男は慣れた手つきで貝をこじ開けるとつるんとした身から真珠を取り出した。
「ほぉ〜!こいつぁたまげたなぁ。
かなり大きな真珠だべさ〜。」
白く輝く真珠が光に反射して虹色に輝いても見える。
「きっと、真珠がアンタのとこに行きたがって呼んだのかもしれねぇな?ほれ。」
男から真珠を受け取り見つめる。
「ほんとに綺麗ね…」
シルビアは真珠を大切そうに眺めた。
「真珠は月の涙とか人魚の涙とか月の雫なんて言われてる物もあるんだなぁ~。涙を着けた女性は一段と綺麗になると言われているから、もしそういう相手がいるなら送るのもいいさ。」
男は説明して満足すると飲み直しだァ!と酒場へ戻って行った。