第2章 小さな蕾
シルビアの声にビクッと驚いた。
「シルビア…さん…なんでここに?」
「なんでもなにもないわよ〜
夜中に小さな女の子が部屋から居なくなったら誰だって心配するわよ。」
ハァっと大袈裟なため息をつく。
「それより…今歌ってた歌って?」
少しサランと距離を置いたところに腰を下ろす。
「聞いてたんですか…?
私、下手ですよね…恥ずかしいとこ見られちゃった」
「いいえ、違うわよ!とても素敵な歌声だったから最初サランちゃんだと思えなかったの。
あなた、あまり喋ってくれないから〜
んもぅ!そんな素敵なモノ持ってるのなら教えてくれても良かったのに!」
体を左右によじらせ、駄々をこねるマネをする。
「私の歌が…?」
「今はまだ小さなツボミだけどきっと素晴らしい大きな花になるわよ。サランちゃん!」
パチッとウインクをしてサランに微笑む。
サランはぱちぱちと瞬きしてから耐えきれずクスリと笑った。
「シルビアさんには負けますよ。色んな意味で」
月明かりの下でフフフと零れ落ちた笑みを見てシルビアは少し驚いた。
「サランちゃんの笑顔、初めて見れた…」