第1章 孤児となった少女
どこからともなく銃声や大砲の音が鳴り響く。
空は赤黒く染まり、地上には崩れ落ちた建物の残骸や人々の血で染まっている。
「サラン!早く逃げるのよ!」
母親らしき人物が生まれて十年も経ってない幼い少女の手をしっかりと握り走る。
「お母さん!お母さん! 」
少女は息を切らしながらも母親の手を握り必死について行く。
2人はやって来た敵兵から逃れようと必死に走った。
やがて走った先にある馬小屋に着くと母親は馬に少女を乗せて自分も乗ると馬を走らせた。
「お母さん…」
少女は不安な気持ちで母親の名前を呟く。
「大丈夫よ…!お母さんと二人で安全な場所に行くからね!」
母親が少女に笑いかけると少女も頷きしっかりと前を見る。
「サラン?手綱の握り方は教えたわよね?
この子(馬)をしっかり走らせられる?」
母親が握っている手綱を少女は握りしめた。
馬の扱いはある程度教わっておりスピードも出しすぎなければ呼吸も合わせられる自信があった。
しかし、なぜ母親がそんなことを聞くのか少女には分からなかった。